昔取った杵柄

我が家はここ3年ほど訪問美容/理容をお願いしています。お願いしているのは母とわたしが長年通っていた美容室のオーナー兼スタイリストさんです。その方は5年程前に自分の美容室を畳まれ訪問美容に切り替えお仕事をされています。

 

先日もお願いしたのですが、今回はその方のお母様と一緒に来られました。そのスタイリストさん、在宅介護されていたお父様が昨年秋誤嚥性肺炎で亡くなられ、認知症のお母様とふたりぐらしとなられたのですが、そのお母様もひとりで置いておくのが心もとなくなってこられました。それで連れてこられたというわけです。

 

わたしたちが通っていた美容室は元はそのお母様がはじめられたお店です。ですので、お母様とそのスタイリストさんとふたりでお店に立っておられたこともあり、わたしたちとも顔なじみです。が、お母様は最初認知症のためわたしたちのことを思い出せなかったようで、今回我が家に来て下さるにあたって「知らない人のところへ行くのは嫌」と難色を示されたそうです。しかしいざ顔を合わせて少しお話をすると思いだしていただけたみたいで、なごやかにおしゃべりができました。

 

スタイリストさんによる母のヘアカットが終わり最後に髪形を整えていると、そのお母様が急にスタイリストさんに「その襟足のところは、〇〇さん(うちの母のこと)には少し長いんとちゃうか」とアドバイスします。スタイリストさんが「そうかあな」と言って母の襟足をながめていますと、スタイリストさんのお母様はさっとたちあがり母に近づき、なんとポケットから櫛を取り出し母のて襟足をとかしはじめられたのです。

 

これには「さすが!」と感心しました。自分は今日は娘の美容の仕事について行くんだ、という気持ちがあって櫛を用意してこられたのですからね。櫛をポケットから取り出す敏捷さは以前のままでした。ちょっと感動した瞬間でした。

 

認知症は「なにもできなくなる病気」みたいに考えていましたが、そうじゃないようです。昔取った杵柄、というようなことは反射的にすることがまだできるんですね。

 

 

かかりつけ医からは「長生きすれば認知症が出てくるのは当たり前と考えておいて」と言われています。ああそんなものなのかとあきらめに似た気持ちを持ちながら、両親のちょっとした変化にどきどきする毎日を送っています。

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