風邪と分身エージェント

気温の急激な変化についてゆけず週半ばより風邪.
39度の熱が出るに至って,いくら着込んでも体の内から寒気がする,という描写が単なるレトリックでないことをはじめて知った.セラミックファンヒーターを使って手足を焼くように熱してもいっこうに赤味が差してこない.体温を保持するために毛細血管が収縮しているのだと思うが,熱しても温かくならないのは不気味で,手足の先から凍えてゆくような気がしてならない.
私にとって一番身近な他者といえば制御出来ない病身であって(ほらよく言うじゃない,「体が自分のものじゃないみたいだ」って),そのほかにも他者らしい存在が沢山いると信じる理由はひとまずそれで足りている.身近な他者と言えば声や文字も浮上した先から独り歩きしてゆく.分身エージェント(本人の代理として会話/プレゼン可能なエージェント)というコンセプトも自分を云々するというよりはその種の他者を使いこなせるようにするものと考えている.
つまり,文書も分身エージェントも表現としては独り歩きせざるを得ないが,少なくとも分身エージェントは表現が利用者によって理解される様子を本人へフィードバックすることが出来る.
フィードバック(会話ログ+内部状態)は,短期的には本人による質問応答データベースの追加改訂を支援するものである.また長期的には表現がどのような解釈,印象,示唆を生み出し得るのか,という「表現の受容のされ方のモデル」を本人が獲得する過程を支援するものである.

microcontent (マイクロコンテンツ)

「マイクロコンテンツ」という言葉は現在,領域によって異なる意味で使用されている.
1.Weblog界
 Weblogの一つ一つの記事の総称.個人の主観に基づいて作成された,一つのまとまりを持つコンテンツ断片.
 記事サイズの上限は,おそらく以下の要素から影響を受ける.
 ・タイトル,カテゴリ情報を付与することが普通であるため,1つのマイクロコンテンツには1つの話題について記述する.
 ・Web上の記事作成インタフェースがシンプル(編集機能が少ない.一度に表示可能な行数が少ない.)であるため,長文作成には向かない.
 当ページのMovableTypeの場合,記事作成中,一度に表示できる文章は10行であり,30行を超えると編集がかなり辛い.
2.コンテンツ業界
 携帯電話,PDAなど表示領域が小さく,ストレージや処理速度など計算機資源の限られた機器用のコンテンツ.
3.Webユーザビリティ
 Webページや電子メール本文(マクロコンテンツ)をごく短く要約したもの.タイトル,見出しテキスト,Subjectのこと.40~60文字.
 Jakob Nielsen’s Website(ウェブのユーザビリティ研究.publications
 Microcontent: How to Write Headlines, Page Titles, and Subject Linest

1,2,に共通するのは,
・作成コストの低さ
・コンテンツ流通環境の整備
・マイクロコンテンツ蓄積への期待 
 「コンテンツ」は一日にしてならず.
 情報の厚みは時を重ねることによってしかもたらされない.
・ネットワーク効果への期待.

MMORPG世界における経済

Gridの人と光の人と夕食.
MMORPG(Mass Multiplayer Online Role Playing Game)世界における経済の話,はもっと理解してから書きたい.とりあえず,ラグナロクオンラインでは世界に流通する貨幣の量が無限に増えてゆくということだけメモ.
あと,ウルティマオンラインが参加者数を制限しているのは,仮想世界でありながら不動産があるためである.

MMORPGのコミュニケーションチャンネル

Gridの人と光の人と夕食.
Gridの人から聞いたMMORPGにおけるコミュニケーションチャンネルの話.
ラグナロクオンラインでは指定した仲間にしか聞こえないプライベートな会話チャンネルと,一定の範囲内の誰にでも聞こえてしまうパブリックな会話チャンネルの二つが用意されている.しかし,複数の仲間とプライベートな会話チャンネルを利用している最中に,さらにその中の特定の仲間と会話したいときは,逆にパブリックな会話チャンネルのほうを用いて話すことがあるという.
なるほど.ゲームシステムの用意したプライベート,パブリックという機能は必ずしも言葉通りに利用されることはなく,二つ別のチャンネルがある,という多重性そのものを,人はどちらが現在主たるコミュニケーションチャンネルであるかを認知しながら,うまく使いこなすものである.

Communicable Knowledge

K橋先生のご指摘により,Pat Langleyの会話型知識(Communicable Knowledge)というものがあることを知った.

専門家の積極介在としては,Pat Langleyの会話型知識(Communicable Knowledge)が代表的で,機械的には困難でも,専門家に気づきを与えるようなインタラクションが知識獲得システムの重要な機能である,という考え方である.

情報処理Vol.44 No.10(2003年10月)自然言語特集p.1010

知識発見分野における成果を自然科学分野へ広く適用するため,
機械学習によって獲得したモデルを,人工知能の専門家でなくとも読み解ける(つまりcommunicable)ようにすることを狙いとする.
Pat LangleyのPublicationを見る限りでは,1998年頃に提案された模様.
国際会議Computational Discovery of Communicable KnowledgeからDiscovering Communicable Scientific Knowledge from Spatio-Temporal Data in Earth Scienceをざっと読んだ.
例えば,地球科学分野に対する機械学習の適用では,以下の知見が得られたとしている.
・Communicability : 機械学習によって獲得されるモデルの形式を,地球科学分野の専門家になじみの形式に合わせることが重要である.
・Understandability : (地球科学分野のように)空間的データを扱う場合は,モデルによる予測値と実測値とのずれを地域と対応付けて視覚化すると判り易い.
・Quantitative errors : (地球科学分野のように)時系列データを扱う場合は,モデルによる予測値と実測値とのずれを期間毎に比較することによって,実測値の計量エラーを発見することができる.
空間的時系列的データを扱う他の分野にも応用できるとしている.

1986年にMark Stefikが提唱したKnowledge Media(Mark Stefik. The next knowledge medium. AI Magazine, Vol. 7, No. 1, pp. 34-46, 1986. ) を思い出させる.Stefikは,知識ベースシステムにおける知識獲得の課題を計算機と人の系のなかで捉え,人の知識流通プロセスを計算機が支援することによって,知識獲得が促進されるとした.